○五木村のふるさと景観を守り育てる条例

平成10年10月1日

条例第23号

五木の地は、九州中央山地の一角を占める山々と、これを刻む川辺川や五木小川など、美しい自然によってはぐくまれてきた。

「五木の子守唄」にもうたわれているように、すぐれた山・川・里の恵みを様々な形でうけながらも、厳しい山村の生活環境の中で、独特の文化や伝統を受け継ぎ、育ててきた。しかしながら、営々と培われてきた五木村の貴重な景観も、時代の流れのなかで次第にその姿を変えつつある。

わたしたち村民は、このふるさと五木をさらに豊かなものとして次代に伝えるため、自然と共生し、うるおいとやすらぎのある住みよい集落や、歴史と文化を背景に、新しい交流の舞台となる、生き生きとした美しい村づくりに取り組まなければならない。

わたしたちの求めるふるさと景観は、大自然と人工物と人間の三つの要素の調和から生み出される風景である。そして、生活と文化がとけあった視覚的な美しさと、人々のふれあいから醸し出される心の充実感である。

ここに、わたしたち村民は、五木村の村土がすべての村民にとって、かけがえのない共有財産であることを認識し、先人の英知と自然への畏敬を受け継ぎ、ともに力を合わせ、誇りと愛着と活力のある、美しいふるさとを「まもり」「そだて」「つくる」ことを目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、五木村のふるさと景観の保全と形成について、村、村民及び事業者の責務を明らかにし、景観形成のための活動を促進することにより、日本のふるさとの原風景を残す五木村の景観を守り育てるとともに、新しい活力と魅力に満ちた景観を形成し、村民にとって誇りと愛着のもてる「子守唄の里」の構築に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「景観形成」とは、山・川・里のふるさと景観を保全し、又は創造することをいう。

2 この条例において「建築物等」とは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(塀を除く。以下「建築物」という。)及び規則で定める工作物(以下「工作物」という。)をいう。

(村の責務)

第3条 村は、五木村における景観形成を促進するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するように努めるものとする。

(村民及び事業者の責務)

第4条 村民及び事業者は、五木村における景観形成に自ら努めるとともに、村が実施する景観形成のための施策に協力するように努めるものとする。

第2章 村の景観形成施策

第1節 景観形成基本方針

第5条 村は、五木村の景観形成に関する基本方針(以下「景観形成基本方針」という。)を策定するものとする。

2 村長は、景観形成基本方針を策定しようとするときは、五木村景観審議会の意見を聴くものとする。

第2節 景観形成重点地域

(重点地域の指定)

第6条 村長は、村内において景観形成上重要な地域を重点地域として指定することができる。

2 村長は、景観形成上重要な地域を重点地域に指定(以下「指定」という。)しようとするときは、あらかじめ規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供するものとする。

3 前項の規定により公告があったときは、当該地域に係る住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、村長に意見書を提出することができる。

4 村長は、指定するときは、その旨及びその区域を告示するものとする。

5 指定は、前項の規定により告示の日の翌日からその効力を生じる。

6 第2項第3項の規定は景観形成重点地域の区域の拡張、指定の解除又は区域の変更について、それぞれ準用する。

(景観形成基本計画)

第7条 村長は、指定をするときは、あらかじめ五木村景観審議会の意見を聴くものとし又当該地域の景観形成に関する基本計画(以下「景観形成基本計画」という。)を定めるものとする。

2 景観形成基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 当該地域における景観形成のための基本的かつ総合的な方針に関する事項

(2) 当該地域における景観形成のための基準(以下「景観形成基準」という。)の策定指針に関する事項

(3) 当該地域における景観形成のための指導、助言及び要請に関する事項

(4) その他当該地域における景観形成に関して必要な事項

3 前条第2項第3項の規定は、景観形成基本計画の決定及び変更について、同条第4項及び第5項の規定は景観形成基本計画の決定、廃止及び変更についてそれぞれ準用する。

(行為の届出)

第8条 景観形成重点地域において、次に掲げる行為をしようとするものは、あらかじめ規則で定めるところにより、その内容を村長に届け出なければならない。

(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転若しくは撤去又は外観の変更

(2) 木竹の伐採

(3) 屋外における物品の集積又は貯蔵

(4) 鉱物の掘採又は土石等の採取

(5) 土地の区画形質の変更

(6) 屋外における自動販売装置の設置

(7) 広告物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物及びこれに類するもので屋内から屋外の公衆に向けて表示されるものをいう。以下同じ。)の設置又は外観の変更

2 前項の規定により届け出た内容に変更を生じたときは、当該届出をした者(当該変更により前項各号の行為をしようとする者が変更されたときは、新たに当該行為をしようとする者)は、規則で定めるところにより、その内容を村長に届け出なければならない。ただし、第10条の規定により指導、助言又は要請に従うことにより変更を生じるときは、この限りでない。

3 第1項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。

(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

(2) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(3) 国、県、地方公共団体(以下「国等」という。)が行う行為

(4) 景観形成重点地域が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手している行為

(5) 景観形成重点地域内で他の法令による施策で景観形成に資するものが実施される場合その他村長が必要と認める場合において、当該地域の景観形成基本計画で区域を限って定める行為

(景観形成基準)

第9条 村長は、景観形成基本計画に基づき、当該地域の景観形成基準を定めるものとする。

2 前項の景観形成基準には、次に掲げる事項のうち必要な事項を定めるものとする。

(1) 建築物等の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(2) 木竹の伐採及び事後の緑化に関する事項

(3) 屋外における物品の集積又は貯蔵の方法及び遮へいに関する事項

(4) 鉱物の掘採及び土石等の採取の際の遮へい及び事後の緑化に関する事項

(5) 土地の区画形質の変更後の土地の形状及び緑化に関する事項

(6) 屋外における自動販売装置の設置方法に関する事項

(7) 広告物に関する事項

(8) その他村長が必要と認める事項

3 第6条第4項及び第5項の規定は、景観形成基準の決定、廃止及び変更について準用する。

(指導等)

第10条 村長は、第8条の規定により届出があった場合において、景観形成上必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、規則で定めるところにより、当該地域の景観形成基本計画及び景観形成基準に従い、必要な指導、助言又は要請をすることができる。

2 村長は、景観形成重点地域内の建築物等、土地その他規則で定めるものについて景観形成上必要があると認めるときは、その所有者又は管理者に対し、規則で定めるところにより、当該地域の景観形成基本計画及び景観形成基準に従い、必要な措置を講じるよう指導、助言又は要請をすることができる。

第3節 大規模行為の届出

(大規模行為)

第11条 この節において「大規模行為」とは、次に掲げる行為をいう。

(1) 建築物で、その高さ又は建築面積が規則で定める規模を超えるもの(以下「大規模建築物」という。)の新築、増築若しくは改築(増築又は改築により新たに当該規則で定める規模を超えることとなる場合の当該増築又は改築を含む。以下この条において同じ。)、移転又は撤去及び外観の変更

(2) 工作物で、その高さ(工作物が建築物と一体となって設置される場合にあっては、当該建築物の高さとの合計の高さとする。)又はその敷地の用に供する土地の面積が規則で定める規模を超えるもの(以下「大規模工作物」という。)の新築、増築、改築、移転又は撤去及び外観の変更

(3) さく及び塀で、高さ及び長さが規則で定める規模を超えるものの新築、増築、改築移転又は撤去及び外観の変更

(4) 地形の外観の変更を伴う鉱物の掘採及び土石等の採取で、地形の外観の変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超える法面若しくは擁壁を生じるもの

(5) 土地の区画形質の変更で、変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超える法面若しくは擁壁を生じるもの

(行為の届出)

第12条 村内(景観形成重点地域を除く。以下この節において同じ。)において大規模行為をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、その内容を村長に届け出なければならない。

2 第8条第2項及び第3項(第4号及び第5号を除く。)の規定は、前項の規定により届出について準用する。

(大規模行為景観形成基準)

第13条 村長は、次に掲げる事項について、村内における大規模行為の景観形成基準(以下「大規模行為景観形成基準」という。)を定めるものとする。

(1) 大規模建築物及び大規模工作物の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(2) さく及び塀の位置、外観及び緑化に関する事項

(3) 地形の外観の変更を伴う鉱物の掘採又は土石等の採取をする場合の遮へい及び緑化並びに法面又は擁壁の外観及び緑化に関する事項

(4) 土地の区画形質の変更後の土地の形状及び緑化並びに法面又は擁壁の外観及び緑化に関する事項

(5) その他村長が必要と認める事項

2 第6条第4項及び第5項の規定は、大規模行為景観形成基準の決定、廃止及び変更について準用する。

(指導等)

第14条 第10条の規定は、第12条の規定により届出をした者及び大規模行為に係る建築物、工作物、土地等の所有者又は管理者に対する指導、助言又は要請について準用する。この場合において、第10条第1項及び第2項中「当該地域の景観形成基本計画及び景観形成基準」とあるのは「大規模行為景観形成基準」と、同条第2項中「景観形成重点地域内」とあるのは「村内」と、「建築物等」とあるのは「大規模建築物、大規模工作物」と読み替えるものとする。

第4節 公共事業等における景観形成

(公共事業等景観形成指針)

第15条 村長は、公共事業、公共施設の建築等で景観形成に著しい影響を及ぼすもの(以下「公共事業等」という。)について景観形成のための指針(以下「公共事業等景観形成指針」という。)を定めるものとする。

(公共事業等景観形成指針の遵守等)

第16条 村は、公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針を遵守するものとする。

2 村長は、国、県、他の地方公共団体その他の公共的団体が公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針に配慮するよう要請することができる。

第5節 援助等

(援助)

第17条 村は、村長の指導、助言又は要請に従って、景観形成のために必要な措置を講じる者に対して、技術的援助を行い、又は予算の範囲内において、当該措置のために必要な経費の一部を助成することができる。

(啓発)

第18条 村は、村民、事業者に対し、景観形成施策に関する知識の普及等啓発に努めるものとする。

第3章 五木村景観審議会

(設置及び権限)

第19条 村長の附属機関として五木村景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、村長の諮問に応じ、景観形成に関する事項を調査審議するものとする。

3 審議会は、景観形成に関する事項について、村長に意見を述べることができる。

4 村長は、次に掲げる事項については、審議会に諮問するものとする。

(1) 景観形成基本方針の策定及び変更

(2) 景観形成重点地域の指定及び指定の解除並びにその区域の変更

(3) 景観形成基本計画の決定、廃止及び変更

(4) 景観形成基準の決定、廃止及び変更

(5) 第11条の規則の制定、改正及び廃止

(6) 大規模行為景観形成基準の決定、廃止及び変更

(7) その他村長が必要と認める景観形成に関する重要事項

(組織等)

第20条 審議会は、委員10人以内で組織する。

2 審議会の委員は、景観形成に関し識見を有する者、その他村長が適当と認める者のうちから村長が任命する。

3 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(規則への委任)

第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

附 則

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 この条例の施行の際既に着手している行為については、第12条の規定は適用しない。

3 五木村景観審議会設置条例(平成9年五木村条例第9号)は廃止する。

五木村のふるさと景観を守り育てる条例

平成10年10月1日 条例第23号

(平成10年10月1日施行)